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東京・大森

感動のふわモチ食感♡ 静岡“あべ川餅”で300年余。地元に愛され続ける老舗和菓子店「餅甚」

 

京浜急行本線・平和島駅から徒歩約5分。静岡から160キロ離れた東京都大田区で300年前以上からあべ川餅を作り続けている和菓子店があると聞いてやってきたのがこちら。美原通り・ミハラ南商店街に店を構える「餅甚」さんです。

 

 

■1715(享保元)年創業。大森で愛される静岡の味

 

 

「いらっしゃい。」
やさしく出迎えて下さったのは「餅甚」十代目・福本義一さん。

「300年以上前に初代が静岡の安倍川のほとりから出て来て、“駿河屋”の屋号で茶店を出したのが始まりでね。真夏の土用中だけ、品川から川崎間を行き交う人の休憩にお茶と一緒に出していて。土用のといえばうなぎだけど、当時は高価で食べられない人もいたから、お餅で力をつけてもらおうって。それが評判になって土用中の20日間から、1カ月になり、3カ月になり、1年と段々長くやるようになってね。」

駿河屋の屋号で看板を掲げ、代々甚三郎の名を継いでいたそうですが、明治後期、八代目が主に餅を扱っていたこともあって、現在の“餅甚”に改名。和菓子なども販売するようになったと言います。

1日1200個のお餅を作るそうですが、伺った時間にはすでに製造は終わり、店奥ではこの道20年の十一代目・義孝さんがどら焼きを作っていました。

 

 

 

■一子相伝で守り続ける、餅甚の“あべ川餅”

安倍川餅といえば、静岡では餡ときな粉砂糖が一般的ですが、ここでは黒蜜にきな粉が定番。

静岡県民としては一瞬「あれ?」と感じるも、その違いを試してみたいと訪れる人や、注文客のリピーターには静岡在住の方も多いそう。

 

あべ川餅18個入り700円(税込)〜

 

一口サイズの丸いお餅は、驚くほどふんわりやわらか。
3日間はやわらかいと評判ですが、求肥や添加物も一切加えていない正真正銘の“お餅”。その秘密を聞くと「餅をつく時間にあり」とキッパリ。
「時間に決まりはないし、すべては“塩梅”。季節や気候によって毎日つく時間も変わるからね。」
まさに職人の為せる技ですね。

黒砂糖、三温糖、水飴、水で作る黒蜜は、一子相伝で守り続ける餅甚の味。コクのある甘みとキレのある後味。蜜の甘さは時代の流れに合わせて変化させているそうです。

 

 

■細くとも長く続けていくことが使命

 

 

戦火で焼け野原になった現在の地で地権を守り抜いた当主、戦後の食糧不足の中、和菓子を作り続けた当主、歴代当主のその努力や想いがあってこそ、今があると福本さん。「無理せず、手を抜かず、この店の看板を長く守り続けることが一番。」と十代目としての想いを語ります。

ここでしか買えない、やわらかな餅甚のあべ川餅は今や大田区の名物にもなり、県外からの来店客もいるほど。取材中も店を訪れる客足が途絶えることがありません。
最近は健康志向や和菓子好きな女性も多く、以前に比べ20〜30代のお客さまの来店も増えてきたと福本さんもうれしそう。
県民としては、静岡の名物が東京で受け入れられ、新たな歴史を紡ぎ、今なお愛され続けていることが少し誇らしく感じます。

 

 

あべ川餅は14時、15時には完売してしまうことが多いため、早めの来店、または予約が確実。そのほか、おはぎや団子、赤飯、商店街にちなんだ“ミハラ娘”も人気です。

 

 

餅甚(もちじん)

東京都大田区大森東1-4-3

03-3761-6196

8:30〜19:00

火曜休

※地方発送も可能(離島を除く)