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小学生の必須アイテムと言えばコレ! 世代を超えて愛用される「横断バッグ」

小学校時代を静岡で過ごした人にとって、ランドセルとともに必需品だったのが「横断バッグ」。「えっ、横断バッグって静岡だけ?」「横断バッグなしでどうやって小学校へ?」と驚く人も多いほど、小学校6年間になくてはならない存在として、すっかりおなじみになっています。
横断バッグが生まれたのは半世紀以上前。「横断バッグのミヤハラ.,」で、お話を聞きました。

 

 

「おかげさまで、もうすぐ57年目を迎えます」。そう言って迎えてくれたのは「ミヤハラ」の代表取締役杉山妙子さんと、企画・営業の杉山司さん親子。

 

 

お店の中には、定番のオレンジ色の横断バッグをはじめ、お弁当箱を入れるのにピッタリなもの、名刺サイズのものなど大小さまざま、カラフルな商品がズラリ。取材時はちょうど、新年度に向けた準備の真っ最中で、ピカピカの小学1年生に配られるための横断バッグが積まれていました。

「創業当時の形はマチがなく、素材は塩ビレザーでした」と司さんが見せてくれたのが、創業当時からある定番の横断バッグ。

 

 

横断バッグ誕生の背景には「交通事故から子どもたちを守りたい」という思いがあります。1960~70年代は経済成長にともなって急激に車の行き来が増えた時代。多くの子どもたちが犠牲になり「交通戦争」という言葉も生まれました。
当時、多くの地域では、通学途中の横断歩道で「横断中」と書いた旗を持って渡っていました。しかし、旗を持つのは先頭の子が中心。「子どもみんなが旗を持てるようにしたい」とバッグを考案したのが、初代社長の宮原敏夫さんでした。以来、50年以上にわたり、静岡では小学生の必需品として愛用されています。
その後、荷物が増えてもいいようにマチつきのものを開発し、さらに素材を軽いナイロン製に。今ではこちらが主流になっています。

 

 

色も、今は定番のオレンジ以外にピンクやブルー、緑などさまざまですが、これはランドセルの色が赤と黒だけでなく多彩になってきた時代の流れに合わせたのだそう。

 

 

「そういえば」と司さんがご自身の思い出を教えてくれました。
「小学生の頃、水色が好きだったので、母に頼んで私専用の水色のプールバッグを作ってもらったんです。そしたらクラスメイトから『女子のくせに青いのを持つなんて!』と大バッシングで。今は女の子が水色を選ぶのも普通なので、いい時代になったなと思いますね」

 

 

ちょっとシックなチョコレート色のバッグは、もともと子ども用に作ったものですが「これなら私も持ちたい」とお母さん世代に人気なのだとか。

 

 

定番の横断バッグも含め、今では40~50種類にも上ります。例えば、東日本大震災をきっかけに生まれたのが、ライフジャケットにもなる浮力材つき横断バッグ。

 

 

手のひらサイズの「ミクロ君」は、中に笛が付いていて防災・防犯ブザーとしても使えます。中にお守りを入れたい「勉強中」や「恋愛中」など、遊び心あふれるシリーズはプレゼントにもぴったり。

 

 

「小さなポーチやランチバッグは、女子高生をはじめ若い女性から『かわいい!』と評判で、SNSにアップされたりしていますね。書類を入れるのに買い求める男性の方がいたり、大学生が『丈夫だから』と重い辞書を入れるのに使っていたり、本当に幅広くお使いいただいています」と司さん。

 

 

最新のオススメは、ちょっとレトロな形のブックカバー。2019年の静岡書店大賞の副賞としても使われたもので「試行錯誤を繰り返しました」(妙子さん)という自信作です。

半世紀以上、子どもたちの安全に寄り添ってきた横断バッグ。子どもや孫のものを選びに来た大人たちが「私も使っていました」「懐かしい」と話す人も少なくないとか。

今後作ってみたいものは?という質問に、妙子さんは「高齢者が交通事故にあうニュースを耳にする機会も多いので、何かお役に立てるものを造りたいですね」と答えてくれました。

卒業して何年経っても、ふとした瞬間に当時の思い出が蘇ることは誰にでもあるもの。静岡で子供時代を過ごした人にとって横断バッグも、そんなアイコン的存在なのかもしれません。

 

 

横断バッグのミヤハラ.,

静岡市駿河区池田130-3

054-281-8468

9:00~17:00(月~金)

https://oudanbag.com/