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働く若者紹介

研究室で学んだ知識を、地元の水耕ネギ栽培に生かす

 

○前田晃成さん

静岡県藤枝市出身。藤枝市在住。和歌山県内の大学を卒業後、2018年、新卒で株式会社グリーンテックに入社。第一生産課に所属し、水耕ネギの生産に携わっている。

 

〇株式会社グリーンテック(焼津冷凍グループ)

株式会社焼津冷凍のアグリ事業部として事業を開始。2018年10月、株式会社グリーンテックとして分社化した。地下100mから汲み上げた南アルプスの伏流水を 使い、水耕栽培で小ネギ、トマト、シイタケを育てる。水耕ネギは年間500tと日本有数の生産量を誇り、小売店をはじめ全国チェーンの飲食店などに安定供給を 続けている。

 

 

◆大学で得た経験を生かせる企業へ

地元藤枝市から、和歌山県内にある大学へ進学した前田さん。3年生から所属した研究室で水耕栽培の研究に取り組んだことから、その知識が生かせる企業で働きたいと考えるようになった。
「進学時には、漠然と生物が好きだという理由で学部を選び、将来は農業をしたいという ことも考えていませんでした。気持ちが変わったのはやはり3 年生の研究室で水耕栽培の面白さ、奥深さに気付いてから。これを仕事にできたらいいなと考え始めました」
もともと、就職は地元で、との思いが強かったため、静岡県内で開催されていた合同企業説明会に出席。そのときに出会ったのが親会社である焼津冷凍だった。当時、グリーンテックはその一事業部として水耕栽培を担っていた。会社見学に行き、若手社員が多く活躍していることや、風通しがよく部署間での連携が取れている雰囲気、なにより水耕ネギの生産量がトップクラスであることなどから、入社を決めた。
「静岡は農業が盛んな地域ですが、実は水耕栽培を手掛けているところは多くはないし、社員を募集しているところも少ないんです。なので、もしこの会社が社員を募集していなければ、地元には帰らず他県で就職していたかもしれません」

 

 

 

◆より品質のいい水耕ネギを目指して学び続ける

水耕ネギ、トマト、シイタケを栽培するグリーンテックで、前田さんは水耕ネギの生産部門である第一生産課に所属。生産から収穫までの一連の作業を行う。種をまいてから収穫まで約80日。その間、生育具合を見回ったり、養液の濃度の調節や肥料の散布など、途切れることなく手をかける。自分の働きかけがダイレクトに影響する水耕栽培には、面白さややりがいを感じる、と前田さん。同時に、大学で研究していたとはいえ、現場で学ぶことも少なくない、とも感じている。
「大学の研究室では、閉鎖型植物工場といって、天候に関係なく人口光で栽培する水耕栽培の研究をしていましたが、会社は太陽光型の水耕栽培。ハウス内とはいえ、天候にも大きく左右されますし、季節ごとの温度管理にも気を使います。どうやったらうまく調節できるか、他県の農家などから情報を得たりして、日々研究してい ます。」
年間を通して7作を安定して生産・供給しているが、時期によって生じる生産不良について、その原因を調べて追及するのが今後の課題の一つ。そして「味がいい」と定評のある品質についてもさらに向上させていきたい、と抱負を語る。

 

 

 

◆仕事と趣味を両立も、地元に戻ったからこそ

今は藤枝市の実家から焼津市まで車で通勤。満員電車で通勤するようなストレスはなく、仕事にも趣味にも打ち込める、と前田さんはUターン就職のよさを説明する。
「地元に戻ることは最初から考えていました。親の近くに住むことで、今後高齢になって何かトラブルが発生したときにも、すぐに対応できると思ったからです」

 

 

通勤に時間がかからない分、家族や友人たちと、趣味のテニスに打ち込む機会も増えた。「最近は大会などにも出場しているんです」と話す前田さん。馴染みある人たちと、折に触れ、好きなスポーツを楽しめるのも、こうして地元に住んでいるから。そしてそういう関わりがあるからこそ、安心して仕事に取り組めるという。
「人が生きる上で欠かせない、食べ物を生み出す農業という仕事に携わっていることを誇りに思いますし、自分自身、多くの農林水産物の産地である静岡県に、より愛着を感じるようになりましたね」

 

 

今後の目標は、とてもスケールの大きなものだ。
「 ラーメン店で使うネギは辛味が強いもの、一般の家庭で使われるものは甘みのあるもの、といったふうに、ピンポイントに選んでいただけるようになれば。今は関東を中心に流通していて、水耕ネギでは日本有数の生産量ですが、できればもっと全国に知ってほしいですね。それが、静岡全体の農業を活性化する力になればいいなと思います」