静岡県のインフラを守り、現場を支える。最前線に立つ若き女性リーダーの挑戦
重機の音が響く、静岡市葵区の護岸工事現場。屈強な作業員たちが行き交う中、的確に指示を出す1人の若手技術者がいます。平井工業株式会社の土木部に所属する、森住(もりずみ)さんです。
土木の世界に飛び込んで4年。副主任として現場を任される彼女は、国家資格である1級土木施工管理技士補(建設部門)を保持する、若きプロフェッショナルでもあります。静岡県の暮らしを守るため、ヘルメットを被り現場を最前線で走り回る。そんな彼女の仕事ぶりを追いました。
平井工業株式会社は、100年以上にわたり静岡県の街づくりを担ってきた総合建設会社です。
建築部門では「草薙球場」のライトスタンド改修や「駿府城公園」の東御門の建設など、地域のシンボルを数多く担当。土木部門でも静岡県知事表彰を受賞するなど、その技術力は地元でも折り紙付きです。
現在、森住さんが担当しているのは、葵区古庄の「巴川緊急自然災害防止対策工事」。2022年の記録的豪雨でダメージを受けた護岸を作り直し、街の安全を足元から固める重要な工事です。
朝7時30分。事務所で段取りを確認し、現場へ。安全対策用のヘルメットを深く被れば、現場を率いるリーダーとしてのスイッチが入ります。
8時になると、朝礼がスタート。自分よりもキャリアの長いベテラン作業員たちを前に、森住さんがその日の作業内容を伝えます。
締めくくりは、安全注意のスローガンの唱和。「今日も安全作業で頑張ろう!」という彼女の掛け声に合わせ、現場に「頑張ろう!」と力強い声が響き渡ります。
朝礼後は、それぞれの持ち場へ。森住さんも歩き回り、刻々と変わる状況を自らの目で確かめていきます。
作業員の多くは、父親世代の人たち。それでも森住さんは臆することなく、笑顔を交えながら的確に指示を伝えていきます。
彼女が大切にしているのは、「みんなで一緒に現場をつくる」という姿勢。全員の名前を覚え、一人ひとりと丁寧に向き合う誠実さが、リーダーとしての信頼につながっています。
森住さんが進学したのは、建築と土木の両分野を横断的に学べる、福井大学の建築都市環境工学科。卒業後は設計やコンサルタントの道に進む人が多い中、彼女が選んだのは施工管理でした。
「施工管理は、いちばん“ものづくりの現場”に近い仕事だと感じたんです」
浜松市出身の森住さん。県外の大学へ進学しましたが、「地元が好きで、就職は必ず静岡県へ戻る」と高校時代から心に決めていたといいます。
「1番の違いは、やっぱり気候ですね。静岡県はとにかく天気が良くて過ごしやすい。そのおかげか、不思議とそこにいる人たちまで明るく感じます。海も山もあって自然が豊かなのも、静岡県のいいところ。心が落ち着く場所が身近にあるこの土地で、いつか地図に残るような新しい道や橋を造るのが目標です」
大学で身につけた知識は、今も現場で生きています。例えば、測量。レンズ越しにメモリを読み、水平なラインで高さを導き出す。学生時代の講義や実習で触れた基礎は、現場での確かな判断材料になっています。
入社4年目で副主任となり、最近は後輩の指導にあたる場面も増えました。かつて自分が先輩たちに教わったように、森住さんは実務を通して技術を伝えています。
技術者として、現場で動く重機への愛着も隠せません。バックホーやブレーカーが動くダイナミックな光景には、思わず心が躍ると言います。
「それに、元々ものづくりが好きなんです」
そう笑う彼女の趣味は、編み物に没頭すること。独学であみぐるみを編んだり、ブックカバー作ることもあるのだとか。タフな現場とは対照的に、コツコツと形にする時間が、いい気分転換になっているそうです。
「出来上がったものが形として残り、誰かの役に立つのを見届けられるのが、この仕事の1番の面白さです」
自分が携わった護岸が、これから何十年もこの街を守っていく。その重みを背負いながら川を見つめる彼女の背中には、1人の技術者としての覚悟が滲んでいました。
【森住さん】
平井工業株式会社 土木部
浜松市出身。福井県の大学に進学した後、就職で再び静岡県へ。
【平井工業株式会社】
平井工業は、創業100年以上の歴史を持ち、静岡の馴染み深い風景を「総合力」で手がけてきた、確かな技術と信頼を誇る建設会社です。専門スキルを磨きながら一歩ずつ成長できる環境があり、日々情熱を持って静岡の未来をつくる仕事に挑んでいます。
















