車の排気をきれいにし、世界の空気を守る。静岡県の若手女性研究者2人が歩む道
静岡県磐田市で、自動車の排気ガスをきれいにする「触媒」を開発・製造する株式会社キャタラー。ここで働くのは、ともに27歳、入社3年目の同期研究者のMさんとSさん。仕事に打ち込みながらも、休日は好きなことを思いきり楽しむ。そんな自分らしい道を進む2人を訪ねました。
株式会社キャタラーは、1967年の創業以来、自動車の排気ガスを浄化する「排ガス浄化触媒」をつくり続けてきた会社。国内トップシェアを誇り、世界シェアも12%に上ります(※同社調べ)。
本社があるのは、静岡県掛川市。そこから少し離れた磐田市北部の緑豊かな場所に、研究開発の拠点「アーク・クリエイション・センター」があります。
「排ガス浄化触媒」とは、排気ガスに含まれる有害な成分を、無害化する部品のこと。触媒を搭載した装置はエンジンとマフラーの間にあり、普段、目にすることはありません。
しかし、その力は驚くほど。ガスが通るほんの一瞬で、有害物質の90%以上を無害な気体へ変えてくれる、頼もしい存在です。
Mさんが所属する基盤技術開発部は、触媒の基礎技術を生み出す“上流”の部署。一方、Sさんが所属する第4製品開発部は、その技術を製品として形にする“下流”を担います。
2人は部署こそ違いますが、同じフロアで働いているそうです。一日中部屋にこもる研究職のイメージとは異なり、実際の職場はとても開放的。チーム内はもちろん、部署の垣根を越えて気軽に相談できる風通しのよさがあると言います。
Mさんが生まれ育ったのは、山梨県。中学での数学好きが高じ、理系高校から山梨大学工学部へ進学。応用化学を専攻し、大学院まで24年間を地元で過ごしました。
「就職活動をしている際、研究職に絞る中で惹かれたのがキャタラーです。地元から近い点も決め手でした」
彼女が所属する基盤技術開発部は、研究開発の「土台(基盤)」となる技術を生み出す部署。現在は、自動車メーカー向けの先行開発部門で、新しい触媒の基礎検討に取り組んでいます。
数年先の製品化を見据え、それまでに確かめておくべきことを一つずつ実験で検証していきます。
開発の現場は、試行錯誤の連続。思うようなデータが出ずに行き詰まっても、みんなで議論を重ね、材料の組み合わせや比率を少しずつ変えながら挑み続けます。
「工夫を重ねて結果が跳ね上がり、やっぱりこの比率が鍵だったんだ!と謎が解けた瞬間は最高に面白いですね」と振り返るMさん。
一方のSさんは静岡県浜松市出身。高校まで地元で過ごし、東京の大学・大学院へ。大気汚染の改善をテーマとした、樹木を「空気清浄機」に見立てる研究に没頭しました。
当初は都内での就職を考えていましたが、コロナ禍が転機に。
「半年ほど実家で過ごす中、人のあたたかさや暮らしやすさを再認識しました。その心地良さに触れ、働くならやっぱり静岡が良いと思うようになりました」
化学の専門性を活かし、環境に貢献できる仕事を。そう考えていたSさんが出会ったのがキャタラーでした。入社3年目の現在は、ディーゼル車向けの排ガス浄化触媒(SCR)の開発を担当しています。
昨年は1年がかりの難題に挑み、「性能ラインを超える」という目標のもと、3ヶ月周期で「作って、測って、解析して、改善する」PDCAサイクルをチームで実践。試行錯誤を重ねた結果、これまで届かなかった目標ラインへ、初めて肩を並べることができたといいます。
もともと大の車好きだというSさん。
「日本が世界に誇る自動車産業やクルマ文化を、足元から支えている実感があります。街中で自分たちの技術が載った車を見かけると、大きなやりがいを感じます」と語ってくれました。
仕事に情熱を注ぐ一方、オンとオフの切り替えも大切にする2人。フレックス制度を活用し、それぞれ自分に合ったペースで働いています。
「働くときはしっかり働いて、そのあとの時間も大事にしたくて」と、にこやかに話すMさん。
朝は8時半に出社し、夕方には退社。早く上がった日は別の日で勤務時間を調整するなど、自分の時間を上手に生み出しています。
海のない山梨で育ったMさんにとって、静岡の風景は新鮮なものでした。休日にはクルマを走らせ、海を見に行ったり、気になるカフェを探したり。
静岡県は都会過ぎず、田舎過ぎず。生活に必要なものは揃っていて、自然も近い。そんなゆるやかな時間が、良い気分転換になっていると言います。
さらに、2か月に一度は山梨県笛吹市の実家へ。フルーツの産地として知られる笛吹市で、旬の果物を味わうのも帰省の楽しみなのだとか。
一方、Sさんの休日はとてもアクティブ。 夏は浜名湖でSUPを楽しみ、冬は少し足を伸ばして、長野や岐阜のゲレンデでスノーボードやスキーを満喫しています。
実はSさんには、長年続けてきた習いごとがあります。
子どもの頃に通っていた浜松の書道教室へ、Uターンを機に再び通い始めました。そして最近、見事に準師範へ合格されたそうです。
「長年お世話になった先生のように、子どもたちへ書道の楽しさを伝えられる存在になりたいですね」
そう語るSさんの瞳は、キラキラと輝いていました。
最後に、静岡で働くことを考えている人へのメッセージを伺いました。
「就職を機に静岡県に来ましたが、生活もしやすく、とても暮らしやすい土地だと思います。仕事の面では、周りに相談しやすい環境があり、新しいことに挑戦できる機会がたくさんあります。」(Mさん)
「静岡県には魅力的な仕事がたくさんあり、豊かな自然も身近にあります。自分らしく
働きながら充実した生活を送りたい方に、とてもおすすめしたい場所です」(Sさん)
仕事も休日も大切にして、人生を豊かにしていく2人。静岡県で触媒開発に打ち込む若手女性研究者たちの挑戦は、まだまだ続きます。
【株式会社キャタラー】
・企業概要(説明文)
キャタラーは、静岡県掛川市に拠点を置くトヨタグループの化学メーカーで、自動車やオートバイ等の排気ガスを浄化する「触媒」の研究開発、製造、販売を中核事業としています。その優れた技術力は、取引各社をはじめとする国内外の多くの自動車メーカーから高い評価を受けています。近年では、車両の電動化が進む中、これまで培った技術を活かして、燃料電池や電池用部材の開発に加え、カーボンニュートラル領域の技術開発にも積極的に挑戦しています。
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