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カフェ、買い物、日替わりイベントと盛りだくさん! サステナビリティを楽しむ工場『循環ワークス』

 

近年、※サステナビリティという言葉をよく耳にしますが、身近に感じられる機会は少ないのではないでしょうか? そんな中でぜひ訪ねてみてほしい場所があります。それが、沼津市にある「循環ワークス」です。ここでは、その名の通り、モノ・ヒト・コトを循環させることで、持続可能な暮らしの実現を目指すさまざまな取り組みが行われており、今年度は環境省の「グッドライフアワード」にてサステナブルデザイン賞を受賞しました。とはいえ、決して堅苦しい場所ではありません。楽しみながらサステナビリティに触れられる素敵な場所なのです。

 

※サステナビリティ:持続可能性

 

 

 

循環ワークスがあるのは、沼津市内を流れる狩野川の河口近く。駐車場が用意されており、車でお越しの方も安心。公共交通機関でお越しの際は、沼津駅から東海バスで12分、浜町バス停から徒歩30秒ほどで着きます。

循環ワークスの工場兼店舗は想像以上に大きな建物。元々、※サバ節を作る工場で、廃墟になっていた建物をリノベーションしたそうです。

 

※サバ節…鰹節(かつおぶし)のように鯖を乾燥させて加工したもの。出汁やトッピングなどに使われる。

 

 

 

いくつものガラス戸を組み合わせた入口は迫力満点。秘密基地みたいでワクワクします。

 

 

 

中に入るとサバ節工場の名残をとどめる大空間を、食器や古道具などさまざまな古物が埋め尽くしています。

 

 

 

「循環ワークスでは、古民家や古い店舗が解体される際に出る不用品を無料で回収し、リユースできる形にしてモノを循環させています。回収するのは、基本的に木や陶器、鉄・ガラス製品など、自然の素材を使ったものだけです。本来、ゴミとして処分される運命だったものを大切に使ってくれる人に受け継ぐことで、わずかでもごみの排出量を削減したいんです。」―そう語るのは、工場長として循環ワークスを運営している山本広気(やまもとひろき)さん。店内に並ぶ古物はどれも普通のリユースショップよりかなりリーズナブルな価格設定。本当は値段をつけずに物々交換で循環させたかったものの、運営費を賄うためにできるだけ価格を抑えて販売しているそうです。

 

 

 

回収された古物はどれもまだまだ使えるものばかり。長い時を経て味わいを深めた器は食卓に彩りを与え、重厚感のある家具は上質なインテリアを演出してくれます。

 

 

 

サバ節を乾燥させるために使われていたスペースは、現在時間貸しの木工作業場として活用されています。ネジや釘などさまざまなパーツが販売されており、専用の工具も使うことができるため、購入した木材をその場で加工して持ち帰ることも可能です。

 

 

 

店内は随所に吊り下げられた電球で明るく照らされていますが、これにも“循環”にまつわる秘密がありました。なんと建物で使用している電力はすべて太陽光エネルギーで自給しているそうです。

 

「経年劣化したという理由で廃棄予定だった太陽光パネルを譲ってもらい、屋上に設置して再利用しています。経年劣化したとはいえ、発電量は十分でまだまだ使えます。また、電力を補うために天ぷら油の廃油を再利用した発電にも取り組んでいます」と山本さん。実は電気工事士の資格を持っているため、配線などの工事はお手のものなのだとか。山本さんは現在、「山本電力」と銘打ったワークショップを各地で開催し、電力自給を普及させる取り組みも行っています。また、古物の回収に使う自動車も天ぷら油の廃油で動かしています。

 

 

 

屋上に設置された太陽光パネル。※屋上緑化により断熱しつつ、野菜も栽培しています。

 

※屋上緑化…屋上に植物を置くこと。

 

 

 

循環ワークスは、「ヒト、モノ、コト」が循環する世界を実現するためのコミュニティスペースとしてスタートしました。古物を回収・販売することで「モノ」が循環し、それを求める人々が来店することで「ヒト」が循環します。また、電力自給をはじめ、自動車整備や農作物の自然栽培、味噌作りなどこれまでに360回以上開催してきたワークショップを通してさらなる「ヒト」の循環が生まれています。工場を改修する際には、のべ500人以上の協力者が集まり、DIYでリノベーションを行いました。そうして同じ時間を過ごし、体験を共有することで、「コト」の循環も生まれます。

 

 

 

山本さんは、県内の約140の店舗が出店する「静岡オーガニックフェスティバル」も主催しており、※オーガニックの普及にも努めています。循環ワークス内のカフェでは、オーガニックのドリンクを楽しむこともできます。富士宮市にある「赤富士珈琲」のオーガニック豆を使い、柿田川湧水で淹れたオーガニックホットコーヒー(税込500円)や、オーガニックフルーツで作った自家製のシロップを使ったジュース(税込300円〜)は、どれもヘルシーでとても美味!

 

※オーガニック:化学的な合成農薬や肥料を使わずに、自然の力だけで生産された食品や製品

 

 

 

「古物やドリンクを入り口に、多くの人に気軽に遊びに来てほしいですね。その中で、面白そうなワークショップがあれば参加して、徐々に持続可能な暮らしについて知ってもらいたいと思っています。今は新しいことに取り組むというより、同じ思いを持って実践に移す人を増やしていきたい。そうすることで、点が面になり、活動の幅も大きく広がりますから。」と山本さん。

 

 

 

こうした“循環”を促す取り組みを始めた理由を山本さんに聞いてみました。

 

「高校を卒業して電気会社に勤めた後、会社を辞めて9年ほど海外を旅しました。その中で、環境問題を感じさせないような綺麗な環境に住みながらモノを大量に消費している人々の暮らしも目にしましたし、ゴミがあふれる劣悪な環境で暮らす貧しい人々も目にしました。そうした両極端な世界を目の当たりにして、現代社会の生活に違和感を覚えるようになったんです。2010年に日本に帰国して、翌年に東日本大震災が起きました。その時、流通が途絶えてスーパーやコンビニから物品が無くなり、電気も自由に使えなくなった様子を見て、既存の供給システムに過度に依存している状況にショックを受けて、自ら持続可能な生活をしていくことに決めました。当初は、古民家を改修した自宅で電力を自給したり、電力自給のワークショップを各地で開催するなどの活動をしていたのですが、多くの人に取り組みを伝える実践の場を作りたいと思い、循環ワークスを立ち上げたんです。」

 

 

 

「モノ」を楽しみ、「ヒト」とつながり、「コト」を体験しながら、サステナビリティに触れられる循環ワークス。一度、訪ねてみれば、きっと世の中の見え方が変わることでしょう。

 

 

 

(施設情報)

循環ワークス

〒410-0823 静岡県沼津市我入道浜町308

営業時間:10:00〜16:00

定休日:毎週月、火、水

お問い合わせは、公式サイトのお問い合わせフォームへ

 

公式サイト

https://junkanworks.com

Instagram

https://www.instagram.com/junkanworks/